宮澤秀巖

語録集「学究」

語録集

故宮澤秀巖先生が遺したお弟子様への師事語録の一部。
美術品、芸術品の定義。書の次元の完成。現代日本において失われた教養への警鐘など、
秀巖先生の書に対する探究・究明の姿勢が窺えます。

「学究」

森羅万象悉咸総師也故無我身以当之正声聞干真観眼育生開道即般若自湧
現人者丈以上不見得終生学不可以巳瞬刻怠勿之極真修業行

書の真髄は単に書技の追及をしても道は開けぬ。武蔵も剣の極意を禅に学ぶ。法然も西行も素晴らしい心の書を書いて居る。心の書とは無我身より生まれるもの。無我身に観が生まれ、観が生まれて見が生まれる。真の書をものさんとするには哲が有り覚が有らねばならない。更に四宝との一体化等々。其処に始めて真の書が生まれる。

技の書には心を打ち心に保たる時間が短い。心の書は永遠に死せず滅しない。閉じても見ゆるを心(真)眼と云い、開いても見えざるを明盲人と云う。価値観解せず知らざる者を猫に小判者と云う。

価値観解せずば価値値解せず。小判者は、電子情報系五感の領域迄は解せるも幽子情報系の次元に立ちての働きをいまだ起すカに至って居ない。故に観の次元を解せぬ。観は幽妙の次元で有る。

六次元の世界は物理の世界を越えた世界で有る。據って哲と覚が必要とされる。右脳と左脳のカを同時一体化し前頭葉に集結させ、統一せる心無我身を以て之に当れば幽子情報系が働く。美術品は四次元、芸術品とは五次元以上の事を云う。

書を学ばんとする者は、書き方とお習字と書技と書道。美術品と芸術品との違い(段階)を心して究明す可し。

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